2012年1月 3日 (火)

プロ弁護士の思考術

 文章が少々脱線気味ですが、実務の心得として読む値打ちはあると思います。トラブル対応や原因究明で苦労した方なら結構食い入るように読んでしまうかも知れません。系統立てて分類して例を入れて書いたというよりも、経験談をまとめてから分類してみて「思考術」っぽく仕上げたという印象があります。とは言っても悪い意味でなく、読んでいてかなり面白いです。工学系の本には余り見かけない「どちらも正しい」事を堂々と書いている本です。特に本書P119『・・・ちなみに、裁判所の判断も「正しい」ということではない。法制度として「正しいものとしてとり扱う」ということにすぎない。・・・』というくだりは新鮮でした。

 我々の実務での技術的問題解決においても手段が一つという事は少なく、社内的・政治的にベスト(と思われる)の手段を取れない事も多々あると思います。そういった意味での思考例・シミュレーションとして本書はかなり有効ではないかと考えています。

以下は出版社の紹介ページです。
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-65936-7

2011年12月31日 (土)

パロマーの巨人望遠鏡

 トラスについて調べていたらセルリエトラスというのに興味が湧き、本書にたどり着きました。
とはいうものの、下巻にちょろっと書いてあるだけで、構造力学的に興味深い記述はありませんでした。機械設計のヒントになるような記述を期待していましたがほぼ皆無でした。
 しかしながら巨大プロジェクトのノンフィクションとして読むとかなり面白いです。人選、資金調達、技術開発、加工、輸送、立地選定など一通り書かれています。技術的な内容としてはガラスの反射鏡にかなりのページを割いています。アメリカ人の職人の描写が日本人みたいで親近感が湧きます。

 万が一間違って出世したときの為に大事に保管したいと思います。

2011年12月10日 (土)

ゴム弾性[初版復刻版]

 専門書らしからぬ[初版復刻版]の文字が目に入り思わず買ってしまいました。
著者のはしがきが1946年9月7日付になっていますので相当昔の本です。
 本文は現代仮名遣いで書かれており、図表もはっきりしています。[初版復刻版]となければ私のような素人は最近出た本と区別がつきません。

 著者は物理学者ですので、(私にはさっぱりわかりませんが)統計力学的な観点から書かれています。
機械屋として注目すべき箇所は第5章 理想ゴムの統計力学的理論19.Poisson比とYoung率くらいではないかと思います。ここではゴムの特徴として非常に低いヤング率にくらべて圧縮率はあまり低くない旨の説明があります。貴重なのは77ページの圧縮率の表で、鋳鉄・ガラス・ゴム・エボナイト・水・ヘプタンの圧縮率が記載されています。この表からゴムと水の圧縮率が近い事がわかります。これはゴムの周囲を拘束した場合に水を充填したのと同義であり、ゴムの弾性が無くなることを意味します。この情報は実務でもベテランの設計ミスを指摘・説得するのに役立ちました。
 まさか買ってから10年以上後に役立つとは思いませんでした・・・

以下は出版社である裳華房の紹介ページへのリンクです。目次があります。
http://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-2807-8.htm